"生まれてきて良かったのか"

幼い頃、よく考えた。


答えなんて出ないまま、ずるずると時だけが経って…

今、ようやく、見つけたような気がするんだ。





alive






「平助ー起きてるかー?」


自分を呼ぶ声で眠たい目を開けると、見慣れた顔があった。


「……んー…左之さん…?何…?俺今さっき寝たとこなんだけどー…」


昨日は夜の巡察当番だったから、寝たのも明け方だった。

眠たさから不機嫌そうにそう言う。
しかし左之さんは聞いているのかいないのか…言葉を続けた。


「お前、今日の夕方なんか予定ある?」

「夕方ー…?別にないけど…」

「よっし!じゃあそのまま予定空けとけよ!」

「あー…?うん…」


そう適当に返事を返す。
とりあえず今は寝たいという欲求が第一だった。


「おい!本当にわかってんのか?平助!」


その適当さが気になったのか、左之さんは声を大きくする

あぁ…もう…なんでもいいから寝かせてほしいのに…


「コラ左之。平助寝てないんだって。あんまり騒ぐな。」

もうひとつ、今度は別の声が聞こえた。
左之さんを宥めてくれてる……新さんだ。


「悪ぃな、平助。まだ寝てていいから。
……でもできれば夕方は空けといてくれな」

新さんはそう言うと左之さんをつまんで(?)部屋を出て行く。


夕方は空けとけって…
なんかあるのかな…?

まぁ、いいや。とりあえず今は…寝よう。


そのまま俺は再び眠りについた。










「んー…」

俺が目覚めたとき、太陽は大分傾いていた。

少し寝過ぎたか…
まぁ今日は非番だったからいいけど。



「起きた?平助」


起き上がろうとしたとき
ふと突然横から声がした。
びくっとしてそちらを見る



「……総司…」



総司が肘をついて俺のほうを見ていた。
心なしか嬉しそうに笑っているようだ。



「なんだよ…ビックリしたじゃん。何か用?」


「ううん。別に何もないんだけどー
今日はみんな忙しいから相手してくれなくて暇でー…つまんないから平助の寝顔
見てましたー!」


そう言うと総司はVサインをしてニコっと笑う


「…俺の寝顔なんか見て楽しいの?」

「うん!楽しいよ!」


…総司の"楽しい"はよくわからない…。

そんなことを思いながらも、俺はさっきの総司の言葉の中で気になったことを尋
ねた。


「今日はみんな忙しいって…なんかあったの?」

そう尋ねると、総司は一瞬きょとんとした顔をしたが、次の瞬間クスクスと笑い
出した。


「平助気づいてないんだ?」

「気づいてない…?って何か大事なこと?」


何か忘れてることでもあるんだろうか…
総司は考え込む俺を見てニコッと笑うと、ポンと俺の肩を叩く。


「うん。すごく大事なこと。平助にとってもね。
…ま、もう少ししたらわかるよ。」


総司はそう言うと、障子を開け、部屋の外に出て行った。



俺にとっても大事なことー…
なんだろう。


そういえば朝左之さんと新さんが夕方は空けとけって言ってたっけ…。

何か関係があるのだろうか…




『総司ィー!!!てめぇどこにいやがった!?この忙しい時にさぼりやがって!!』

少しして、土方さんの怒鳴り声が聞こえた。

やっぱり…忙しいらしい。

何か手伝ったほうがいいだろうか…
そう考えていると、再び障子が開き、左之さんが顔を見せた。


「平助!起きてるか?」


左之さんは朝と同じようなセリフを吐くと、いきなり俺の手を掴んで引っ張る。



「ほら、行くぞ!」


「え…ちょ…っ!!左之さん!?」









引っ張られるままに連れて行かれた先は、大広間。
しかも隊士…それも幹部連中ばかりがずらーっと鎮座していた


「な、なんなのコレ…」


夕食の時間には少し早いし…
何より何故幹部のほとんどが一箇所にいるのだろう…



「平助、まだ気づかないか?」

近くに座っていた新さんが苦笑まじりでそう聞く。
さっき総司にも言われたような…


「平助、今日は何月何日だ?」


「え?今日?…確か、9月12日………あ。」



今日の日付を口にだしてみてやっと気づく。


「そ。お前の誕生日。」


気づくのおせーよ、と新さんはまた苦笑した。



「じゃあ…この状況って…」


「お前の誕生日の宴に決まってるだろ。」

隣にいた左之さんがそう言って俺の頭をくしゃくしゃっと撫でる。

今日は忙しいっていうのは、この宴の準備をしていたせいらしい。


素直に、嬉しかった。





誕生日なんて、忘れていた。
今まで、祝ってもらったことなんてなかったし。

自分は間違いで生まれた子。
望まれて生まれた訳じゃない。

むしろ自分なんて生まれてこなければ良かったのではないか、
幼い頃から、そう思ってきた。


"生まれてきてよかったのか"
そんな問いも、幾度となく繰り返した。



「…ありがとう」


はじめて、人が祝ってくれる自分の誕生日。

新選組に入らなかったら、ずっと、手に入らなかったかもしれない。

祝ってくれる人がいる、自分の居場所。

嬉しかった。


素直に感謝の気持ちを口にすると、みんなが、笑ってくれた



「早く座りなよ平助。早く食べようー」

総司が待ちきれないようにそう言う。


「ほら、主役の席!」

そう言って真ん中の席に座らされる。


「よっし!じゃあ始めるとすっか!」


左之さんがそう言うと、みんなに一斉に「おめでとう」と言われた。


それが嬉しくて、少し、泣いてしまった。






***


"生まれてきてよかったのか"
そんな何度も繰り返した問い。

答えは、今でも見つからないけど、

今は、見つけた居場所で。
仲間のいるこの場所で、


生きてみよう。








-fin-







*あとがき*

9月12日!
平助誕生日おめでとう!
ということで書きました。
ご落胤であるという平助は、やっぱりちゃんと誕生日祝ってもらってないと思う
んですよ。
それに出生のせいで自分の誕生日すらあんまり良く思ってないんじゃないかと…。
だから皆さんに祝ってもらいました!!(という妄想です)

一応フリーなので、煮るなり焼くなり好きにしてやってください!←