「うーむ…」

(一体、あいつは何が欲しいのだろうか…)






*一番欲しいもの*






「うーむ…」

12月24日。
クリスマスに合わせてイルミネーションやら何やらでライトアップされた街の中
、雑貨屋の前でうなっている辰玲の姿があった。


「うーむ…」

辰玲は再びうなる。
ほたるにクリスマスプレゼントを買ってやろうと思うのだか、こういったことに
慣れていない辰玲は、何を買っていいやら全くわからないのだ。


「…おい」

「ん?」

ふと、後ろから低い声がして、辰玲は振り返る。

「…なんだ。狂とゆやではないか。何の用だ」

そこにいたのは、おそらくクリスマスデート中だと思われる、狂とゆやだった。

「別に用なんかねぇよ。てめぇがうんうん唸ってやがるから声をかけてやっただ
けだ」

相変わらずの俺様口調で言う狂を、まぁまぁ、と言ってゆやがたしなめる。

「辰玲さん、ほたるさんのプレゼント選んでるの?」

「あ、ああ。よくわかったな。」

「何がいいか悩んでるんでしょ?」


今の辰玲の状況をぴったり言いあてたゆやに、辰玲は驚きの顔をする。

「ほたるさんの趣味ってよくわかんないもんねー」

「…全く、その通りだ。」

ゆやが笑いながら言うと、辰玲はため息をつく。


「…あ、このピアスとかどう?」

ゆやは、雑貨屋の棚に並んでいるものの中から、真っ赤なピアスを取る。

「ピアスか…確かあいつ、好きだったな。」

それを見て、狂がそう同意する。
辰玲は、しばらくそれを見ていたが、やがて得心したように、それを手に取る。

「確かに…あいつには似合いそうだ。」





「…それより辰玲、てめぇこんなとこで油売ってていいのか?もう7時過ぎるぞ


狂の言葉にはっとして、辰玲は慌てる。
早く帰ってやらないと、ほたるは一人でご飯すら炊けないのだ。

「もうこんな時間か!…ゆや、助かった。礼をいう。それではな」

辰玲は急いで会計に向かうと、家路を急いだ。





**

「遅くなった!」

「…辰玲、遅い。お腹減った。」


家に着くと、ほたるは開口一番、空腹を訴えた。


「わかったわかった。少し待っていろ。」


不機嫌そうな弟を軽く受け流し、辰玲は夕飯の準備に取り掛かる。


「辰玲、一体何してたの?」

ほたるは、夕飯をつくる辰玲の背中に話し掛ける。


「…ああ、少し買い物に時間がかかってな。」

まぁ、あながち間違ってはいない。

だが、ほたるのプレゼントを選ぶために何時間も雑貨屋で唸っていたなどと、み
っともなくて言えるわけがない。


「ふぅん…」

ほたるは、さして興味もなさそうにそう答えると、それ以降何も話さなかった。




「ほら、できたぞ」

辰玲が夕飯を作り終えて、それを食卓の上に持ってくると、ほたるは首をかしげ
る。

「…あれ?なんか今日豪華じゃない?」

それを聞き、辰玲は呆れてため息をつく。
今日が何の日だか、全くわかっていないらしい。

「…今日はクリスマスだからだ。」

「……ああ!」

ほたるは納得したように手をポンとたたく。


「クレオパトラの誕生日!」

キリストだ!!!

「あれ?そうだっけ?」

クリスマスがクレオパトラの誕生日だなどというのはおそらくこの世でほたるだ
けのものだろう。

「幼稚園児でも知っているぞそれくらい!!」

(全く…興味がないにも程がある…)


「…まぁいいや。お腹減った。いただきます」

ほたるはそう言って夕飯に箸をつけはじめる。
辰玲も、ぶつくさ言いながらも箸をつける。

しばらくの間、食べながら他愛もない日常会話が続く。




「ほたる」

夕飯もほとんど食べ終えた頃、辰玲がそう口を開く。

「何?」

突然真剣な声になった辰玲に、ほたるはさして興味もなさそうに答える。

「渡すものがある。」


そう言って辰玲は、先ほど買ったピアスの入った箱を取り出す。


「何、それ」

「クリスマスプレゼントだ」


辰玲がそう言うと、ほたるは少し驚いた顔になる。


「…俺に?」

「……他に誰がいる。」


辰玲がぶっきらぼうにそう答える。
ほたるはしばらく驚いた顔をしていたが、しばらくするといつもの無表情に戻っ
た。


「開けていいの?」

「……ああ。」


ほたるは、そう了解をとると、箱の包みを開けていく。


「…ピアス。」


ほたるは出てきたものを見てそう呟き、辰玲のほうを見る。


「…ねぇ辰玲。これ買うために遅くなったの?…しかもかなり悩んだんでしょ?



「な…っ何故わかった!?」

「あ、図星。」


ほたるに、遅くなった理由を言い当てられ、辰玲は思わず動揺し、結果、墓穴を
掘ってしまった


「…結局、お前が欲しがるものがわからなかったから、それはゆやの見立てなん
だがな…。」


「そうなんだ。…でも、嬉しい。」


「ほたる…?」

まさかのほたるの言動に、辰玲は驚く。
ほたるが「嬉しい」などと、予想もしていなかったことだ。


「ありがと。」


ほたるが、少し微笑んだ。
辰玲は、驚き顔をしていたが、それを見て、穏やかな笑顔を見せた。




「…メリークリスマス。」

辰玲はそう囁くと、ほたるの頭を撫で、そっと抱き寄せた。





**



「…でもさ、辰玲。本当に俺の欲しいものわかんなかったわけ?」

「ああ。大体、お前の趣味は意味不明すぎるんだ。」

「えぇー…結構わかりやすいものなんだけどなー」

「何だ。何が欲しかったんだ?」

「……わさび。」

「……は?」

「嘘。」

「…馬鹿者が!!」



「…俺が一番欲しいのは…」


ほたるは辰玲の耳元で、二人にしか聞こえないくらい小さく何かを囁いた。



**

結局、一番欲しいものは俺と一緒だった

悩んで損をした、とでも言うべきか…。

…いや、嬉しいと言うべきなのだろうな。
それを再確認できたことを。


"一番欲しいのは…お前だよ…"






fin






*言い訳*
皆様、ハッピーメリークリスマス!!
今年もこのようなヘボサイトにきていただき、ありがとうございました。
クリスマスフリーということで作りました辰ほたです。
UPが遅れましたが…(汗

とりあえず、プレゼントに悩むおにいちゃんが書きたかった、それだけです。
すみません。本ッ当すみません><
そして狂ゆやも登場させたくて無理矢理したらこんなごちゃごちゃに…。
本ッ当すみません><
とりあえず、フリーなので、よろしければお持ち帰り下さい。

2008年12月25日 管理人 如月神無 拝