俺がいると、邪魔になるから。
お前の重荷にはなりたくない。
けど、本当は―――…
***
「together」
***
「ふぅ…これで全部だな。」
その日、辰玲は、買出しのため、壬生の外へと出てきていた。
「…ん?」
買い物を全て終え、壬生に帰ろうとしていた辰玲の目に、見た事のある人影が写った。
「…ケイコク?」
「…ん?あれ、辰玲だ。」
辰玲の目に映ったのは、相変わらずボケっとした、弟の姿だった。
「何どうしたの。追い出されたの?」
「そんなワケがあるか!!!買出しだ買出し!!」
「ふぅーん…」
何年かぶりに会ったというのに、これだ。
辰玲はため息をつく。
「辰玲もう帰るの?」
「ああ。もう終わったし…。…でもまぁ、俺は久方ぶりに出てきたんだ。茶屋でも行くか?」
「辰玲のおごりなら」
少し下手に出て茶屋へと誘ってみると、ほたるは表情さえ変えずにそういった。
「…もとからお前に金など期待していないからな」
辰玲は更に深いため息をついてそう言った。
「うん。なら行く」
辰玲が歩きはじめると、ほたるはひょこひょこと後を着いていく。
***
「ケイコク、お前、帰ってくる気はないのか?」
茶屋で何気ない話をしていたとき、辰玲が突然、そう言った。
「…なんで?」
ほたるは少し驚いたようだが、すぐに顔を戻して尋ねた。
「なんでって…まぁ、そう聞かれると理由はないが…」
質問に質問で返され、辰玲は少し返答に困った。
「だって俺、あそこ帰ってもすることないし」
「そりゃ確かにそうだが…」
ほたるに、壬生の地で何かができるとは到底思えない。
「辰玲は?」
「は?」
「辰玲は俺に、帰ってきてほしいの?」
ストレートな質問に、辰玲は困惑する。
「それは…」
"帰ってきて欲しい" もう家族のいない辰玲にとって、ほたるは唯一の肉親なのだ。
だが、そんなことを口に出して言えるほど、辰玲は素直ではない。
「俺は…お前の兄として…」
「心配してくれてんの?」
ほたるはまたまたストレートな質問をする。
「ねぇ、辰玲。」
まっすぐに見つめてくるほたる
「……当たり前だ。」
その気迫に負けた辰玲は、ひとつため息をつくと、そう言った。
「お前は、俺のたった一人の弟なのだからな。」
辰玲は静かにそう言うと、ほたるの目を見つめ返す。
しばらく、無言が続いた。
すると、ふとほたるが口を開いた。
「あーあ。負けた。」
つまらなそうに言うと、ほたるは続けた。
「それ言われたら反論できないじゃん」
「ケイコク…」
辰玲がそう呼ぶと、ほたるは辰玲の頭を叩く。
「な…ッ何をするっ!!!」
「"ほたる"だから。俺はもうケイコクじゃないもん」
「あ・・・」
あの戦いのときも、何度か言われた。
そう、もうケイコクではないのだ。
「ほたる…」
「うん。それなら帰ってもいいかも。」
「…え!?」
突然そう言ったほたるに、辰玲は驚き、そして、うれしそうに笑った。
「ただし、辰玲のとこに置いてよね」
「はぁ!?」
予想外のほたるの言葉に、辰玲は今度は本気で驚いた。
「何故だ!庵家があるだろう!!!」
そうだ。ほたるにはちゃんと帰る場所があるはずなのだ。
「辰玲が言ったんじゃん。"俺の弟だから"って。兄なら弟を養うのは当然でしょ」
何か違う気もするが…
それを言われると、辰玲だって反論できない。
「…ああもう。わかった。俺だってそれを言われると反論できん」
仕方ない、というように、辰玲がため息まじりに言った。
まったく、ほたると会ってからこれで何度目のため息だろうか。
「まぁ…それはそれで、嬉しいがな」
辰玲は、自分にしか聞こえないような小さな声でそう言った。
「じゃ、帰ろうか」
そう言って立ち上がるほたる。
「ああ。」
ほたるに続いて、辰玲も立ち上がり、外へと出た。
***
少し、試すつもりだったのに。
"弟だから"そう言われて、嬉しくなってしまった。
完全に俺の負けだ、そう思った。
今まで、コイツにだけは負けたくなかったはずなのに。
でも、それで一緒にいられるなら。
負けてもいいかなって、思ったんだ。
○おまけ○
「あ、そうだ。」
「何だ。」
「せっかく来たんだし、俺が外を案内してやるっていう約束…」
「絶対にお前には頼まんと言っただろう」
「えぇー…」
〜fin〜
**あとがき**
もぅ、半分ノリで書き上げました。
授業中にふっとこのネタが浮かんで、
授業2時間まるまる使って書き上げました!(授業聞けぃ)
ぃやぁーもう。楽しかった。
やっぱり同棲でしょう!!ねぇ!!!(黙れ
このあとはめくるめく桃色の日々が待っているよ?お兄ちゃん。笑
とにかく、るんるん♪で書きました。楽しかったです。
読んでくれてアリガトー