冷たい眼とか、

時折見せる、

優しい笑顔とか。

いろんなあなたがいるけれど、

どれが好きとか嫌いとか言わない・・

全て、好きだから。

全部ひっくるめて。

あなたの、

すべてが好きだから―――・・・

***

your self

***


「あぁー!やっと出来たッ!!!」

ゆやは、少し疲れたような声で言った。


「・・やっぱりキツかったな・・私にチョコなんて。」

ゆやは、ふぅ、とため息をつく。

 

「・・喰えんのか?コレ。」

 

「え?きゃぁっ!!」

後ろから突然声を出され、
ゆやは驚いてしりもちをつく。

「な、なんだ・・狂。脅かさないでよ・・」
後ろに立っていたのは狂――・・ゆやの想い人である。

「一体何つくってやがったんだ?」
「きょ・・狂には関係ないでしょ!!」

ゆやはぷい、とそっぽを向く。

「・・って!なんで私の家に居るのよ!!」
もっともな質問である。
何故今まで気が付かなかったのか。

「ほたるのヤローが、もうすぐ夕飯だから呼んで来いって」
「え?もうそんな時間!?」
ゆやは、ふと時計を見る。
時計が指していたのは7:40

「うそ!全然気が付かなかった!!」
両親のいないゆやは、いつも隣のほたるの家で、
ほたるの兄、辰玲の作った夕飯を食べている。
それは狂と、狂の双子の兄、京四郎も同じだった。

「・・ったく・・一体何作ったらこんなにグチャグチャになるんだよ・・」
狂は、あきれてため息をつく。
そんな狂を見て、ゆやは顔を少しだけ紅く染め、

「わ、悪かったわね!!」
と言った。

「うんうん。ゆやちゃん、料理下手だからね。」

突然聞こえた感情のこもっていない声に、ふたりはそちらのほうを向く。

「ほたる。」
「・・って!あんたもいつの間に家に・・」

「え?今の間に。ってか、鍵開いてたし。」

よくわからない返事をするほたる。

「狂が呼びにいったまま戻らないから・・また喧嘩してるんじゃないかって、辰玲が。」
ほたるはそう言うと、二人に近づいてきた。

「もう夕飯できたよ。早くしないと京ちゃんに全部食べられちゃうよ。」
「わかった。今いくから、二人とも先いってて。」
ゆやはそう言って、エプロンをはずす。

「・・ってお前、制服のままじゃねぇか。」
「え、あ、うん。帰って来てすぐに作り始めたから。」
「・・・ほんとに女かよ・・着替えくらいしろよな。」
「っるさいわね!!」

痴話喧嘩を始める二人。
そんな二人をよそに、気を利かせるように、ほたるが出て行った。

***

一方、ほたる宅。

「ただいま。」
「遅いぞほたる。二人はどうした。」
「・・京ちゃん、料理全部食べていいっぽいよ。」
「え?」
「なんだ。またなにかあったのか。」
「う〜ん・・どうだろうね。」
「もしかして・・」
「うん。」
意見の食い違いを気にもせず、食卓では、夕飯がはじまった。

***

「え?一体何つくってたんだ?」
「・・・」
あきれたように言う狂に、ゆやは下を向いて黙りこくる。

「どうした?」

少し心配そうな声を、狂はあげた。


「狂。」


ゆやは顔をあげると、狂の目の前に、あるものを差し出した。

「は?」

チョコレート。
何度も何度も失敗を繰り返し、やっと出来た、

「・・あげる。」

ゆやは、顔を紅潮させて、
そして、小さな声で言った。

「・・・大好きだよ・・」

それは、囁くように。
優しく。

狂は、そんなゆやを力いっぱい抱きしめた。

「・・ありがとう・・」

狂もまた、小さな声で、言う。
そして、呼ぶ。

「ゆや・・」

****

冷たくても
時折ふと見せる笑顔。
優しい微笑み。

どっちのあなたも、あなただから。

だから私は全部好き。
みんな好き。

どんなあなたも、みんな好きだから――・・
あなた自身が、全て好きだから――・・


****


「ねぇ、狂。」

「ん?」

「私ね。」

「なんだ。」

 

「・・あなたの、全てが大好きだから。」

 

 大 好 き だ か ら ――― ・ ・

 

***fin****

 

----おまけ---

ほたる宅。

「・・寂しいね。」

「辰玲くん。今日、誕生日なのにね」

「あれ?そうだったっけ?」

「・・・・・(涙」


====あとがき的言い訳====

バレンタイン企画で、灯さまにリクエストいただいたものです。
ヤバッ!!
なんじゃこりゃ。
意〜味〜不〜明〜♪♪
・・すみませんorz
灯さま、こんなものでよかったでしょうか?
いらなかったら捨てても結構ですよ。

では。